生ハムと暮らしている

すぐ忘れるので文字にしよう

微笑ましいチョコレートの包み

8/14

何につけても金曜日。

そして蒸すように暑い。終業後、いくらでも時間はある。

 

景気よくビールを飲むのにうってつけの夜だ。

一人で行くには忍びないが、スウェーデンから日本に初めて進出した、引くほど洒落たクラフトビアバーに繰り出す。

 

めちゃめちゃ映えるがこちらは無言である。

 

店としても推しの濃いビールを飲みたいので、そこをゴールに据え飲んでいく。

1杯目のIPAは予想以上にしっかりした味で、2杯目は所在なさげな私に気遣って声をかけてくれた店員さんにお勧めを聞き、問答無用でジョッキで頼んだ。反応を見るに、一人の割に結構飲むなと思われた感じがある。料理はまずまず。

 

ほどよく思考がおざなりになった頃、満を持して件のビールをオーダー。1種類だけ、銘柄の隣に「100ml」と書かれた、ワイングラスに注がれるスタウトだ。念のため親切な店員さんに合う料理はあるか?と聞くが、予想はしていたものの特にないとのこと。とことん料理には凝らない店である。

冷蔵庫に僕の明治チョコがあるけど、と申し訳なさそうに言うので丁重にお断りした。

 

出てきたその1杯は驚くほどチョコレートとナッツの香りがして、明らかにとろみがある。これはビールなのか?なんでもいいけど美味しいし、冗談で言ったのかもしれないが、先ほどのチョコレートの申し出を断らなければよかった…。

と、思ったところにそっとテーブルにチョコレートが置かれた。

このご時世、という考えもよぎるが、それがないと成立しないくらいの必要なマリアージュを感じる。ありがたく頂戴し、ファットブルーム現象の起きた微笑ましいチョコレートの包みを2つ開けた。

 

他にも高価な銘柄があるようで、とても気になるが今日は退散。

ゴクゴク飲む店ではないが、今度訪れたらあの宝石みたいなビールを1杯だけ頼んで、ちびちび楽しもうと心に決めた。

 

最後にチョコそのままどうぞと言って頂いたので、気分のよくなった私はサービス料と思ってチョコプラスアルファの硬貨を置いてきた。今思えば、迷惑だっただろうか。

この行いに全く驕りの気持ちがないと言ったら嘘になるが、チップの文化と飲みニケーションと等直線上にある奢りおごられの文化には紙一重な部分があるか…と思ったところ、一応チップは一度きりで互いに見返りを求めない前提があるので、かなり健全な部類の振舞いなのではないかと自分を納得させた。

日本にも堂々とチップの文化が根付くことを願うものである。

 

▼ば、ばえ〜と思ったがそんなに映えて撮れてなくてうける

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