不格好な想像力のなか
10/14
魔が差して学生時代にしたためていた日記を見返してしまった。
とるに足らないできごとで傷ついている。
(「とるに足るか」なんてアメーバみたいな基準からしてみれば、まあ、今現在だってそうなんだけど)
稚拙な言葉が生々しく、その時間、その季節をもう一度描くことができる。まだ読み返していないもっと過去の日の景色も思い出せるくらいだ。
やはり書いておくものだな。
遡れば遡るほど、どんどん小さなできごとを大きな虫眼鏡で見つめて笑ったり泣いたりしているのがわかる。幼い私は何もかもコントロールできずに暴れて傷ついてばかりいたように思うが、それをばかばかしいとは笑えない。傷つく必要なんてなかったけど、今となってその傷がない自分も認めることはできない。今でも、中学生のころ生徒会に立候補するとき応援演説をしてくれた先輩に変な人見知りをしてうまく感謝を伝えられなかったと自分をひどく責めた夜を何度も思い出す。小学生のころ、自分が死んだ世界を強く想像して暗く深い地中から世界を見て声も出せず何の干渉を受けることも与えることもできない無力さに冷めざめとしたことも。
不格好な想像力のなか生きていたのだ。
ささやかな夕食をとり、一服しにいく。やはり寒い。
お香を焚いて、ラジオでミスチルの韻の踏み方について学び、ミルクティーを飲んだ。
エイリアンズをループで流し、秋鮭をゆっくり焼きながら、食器を洗う。
ぼんやりと考え事をしながら軽い運動をする。
悪くない日常だ。
一般的な「わりとよい」の意味ではなく、純粋に「悪いことはしていない」という程度に。
▼いつも同じタイトルだった日記