生ハムと暮らしている

すぐ忘れるので文字にしよう

それにしてもやるかたなく

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母親から、今家にいるかと連絡があった。

私の部屋の近くに来ているらしい。

 

というのも別に付け回されているわけではなくて、祖父母の家が私の部屋からほど近く、また偶然にも従兄弟の一人暮らしの住まいもまた同じ街なのだった。

祖父母の介護のついでに甥の近況を聞いた帰りだそうだ。

 

母ももう年寄りなので、本当にしょっちゅう私に何らかの恵みを与えたいようで、甥には駅前のケーキ屋でケーキを買ってあげたからあなたにもなにか、とのこと。

ただ我が家にはジェラートの買い置きや昨年から食べきらないアップルパイやふるさと納税の大量の果物などが転がっており、これ以上はキャパオーバーのため丁重にお断りした。

あえて言うならばサーティワンアイスクリームの年始フレーバーである黒豆芋きんとん味が気になるので商店街のお店に行こうかと誘うが、聞けば全店でイートインは中止し持ち帰りしかやっていないと言われ、レギュラーサイズのアイスクリームをカップに詰めてもらいそのただひとつをドライアイスと共に小さなビニール袋で渡されたのだった。

寒空の下、普段そう会わない母親と、十分な時間を過ごしたのちに1日空けてまた落ち合い、冷たい小袋を手に街に放り出された。

 

特別何を成し遂げようともしてはいなかったが、それにしてもやるかたなく、なんだか笑える。

 

▼いつもの力を発揮できていなさそうなサーティーワンアイスクリームf:id:kaaamadax:20210127090921j:image