こんなことを気にしなかった自分に戻りたい
1/6
台所で粗相をしてしまうという夢で真夜中に一度目を覚ました。
ベッドの上で呆然としながらも異常に排便欲求が溜まったような感覚があり、だがそれは虚構で実際にはそんなことはないのでそのまま再度眠りに入る。
自分の精神状態が不安だ。
年末から年始まで年越しと共に持ち越したダルメシアン柄のジャケットへの思いを胸に、古着屋に立ち寄った。勇んで行ったらお店の販売員さんも何やら煮え切らない気持ちを持ち寄り、年始にかこつけて非常にお得なセールをやっていること、自分だってセールの買い物に繰り出したいところだが本当は行きたかった旅行もキャンセルして外出の楽しみを抑えていること、それでもこの店に出勤していること。短い会話だったがそういった感情の揺らぎを受け取った。いずれにしても新商品と入れ替えのタイミングに合わせセールが行われる通常のアパレルと比べ古着屋のセールが希少なのは確かなので、話に乗せられ幾つかのアイテムを試着した。
最近、欲しいなと思って何度か探したものの見合う商品がなく諦めていた生粋の青のタートルネックニット(原色の青、そして余計な装飾のない丈夫な薄手のニットを探していた)と、ほんのりとアジアのどこかの地方性の香りがするモチーフが散りばめられた、これも原色に近い様々な色で好き勝手に塗りつぶしたような派手なブルゾンも買ってしまった。
飛び道具的ファッションアイテムを購入する際の自分の潔さが憎い。
家に帰って、昨日のバターサンドについての考慮を同居人に共有した。
そういったお菓子に限ったことではないが、時にエモーショナルイーティングにカチリとスイッチが入って全く幸せではない食事をしてしまう。純粋に食べたい気持ちで食べた何かをきっかけにならともかく、人にもらって賞味期限が迫っているというような理由で食べるお菓子で自分のコントロールが失われるのは、なんというか…プライドが傷つく。
そういったことを柔らかに話した。たった1つのクッキーを恐れている自分が恨めしい。こんなことを気にしなかった自分に戻りたい。
自らを可哀想がっても仕方がないけれど、人に話すと滑稽さが身に沁みるものである。